April 02, 2006

Gabriele Mirabassi/ Velho Retrato

Velho_retrato


クラリネット奏者Mirabassiはデュエットがお好き。
Egeaでリリースされたアルバムを見ると、
Stafano Battaglia(p)と組んだFiabe
アコーディオン奏者とのduoでは、Richard Gallianoを相手にした”Coloriage(未聴)“、
Luciano BiondiniとのFuori le mura、
ギタリストとのduoではGuingaとの“Graffiando Vento”、
それから今回取上げた、Sergio AssadとのVelho Retratoがある。

以前挙げたFiabeと、このアルバムが、とっても好き。
Egeaって、イタリアらしい明るさ(能天気とも思える)と、ちょっと湿り気のあるような切なさを感じることが多いのけれど、このアルバムは後者の雰囲気が支配的。

デュエットって、自由度が非常に大きい一方で緊張感も強いられる演奏形態だと思う。
僕はそれがとても好きで、この形式の演奏アルバムを集めている。
Mirabassiみたいに、duoアルバム、それもすんごく良いものを創れる人が居るのは嬉しい限りだ。

全10曲なのだけれど、全てがSergio Assadなのかしらん?
ジャケにはTutte le composizioni sono di Sergio Assad tranne Flluntuante(Clarice Assad)とある。
不勉強なのだけれど、Serigioはアサド兄弟で有名なブラジル出身のギタリスト。
演奏だけでなく、作曲の才能も素晴らしいものがあるとのこと。
1曲を提供しているらしいClariceは彼の娘のようだ。

とにかく、最初から最後まで、美しいメロディの連続。
テーマだけでなく、それを無限に展開していく素晴らしさ。
どの曲も短いながらも、色々な場面が含まれている。
おそらく書き譜部分もあると思うけれど、枠にとどまらず自由に飛び交うメロディ、リズムはジャズと言って良いと思う。
(自由度が高く、なんでも吸収する音楽=ジャズってことで、言葉は何でも良いのだけれど。)
また美しい(Mirabassiの音の美しさって言ったら!)音と、それを自在に繰り出すことができるすんごい技術。

全てのミュージシャンは神様に、時々何かを貰っているし、それを自分の努力で自分のモノにしているのだけれど、
この人たちは、なんだか、なんだか… 違うのだよな。
常に、空や森から降ってくる何かを、発信し続けているって言うか…。

僕のブログは、あまりお奨めできないものも多く取上げているけれど、間違いなく多くの人が、素晴らしさを共感できるアルバムだと思う。

追記:
この頃のEgeaの録音ってホールで録られているようなのだけれど、楽器のかちゃかちゃした音とかも、時折入ってくる。僕のオンボロオーディオで、そんなこと言ってもしょうがないのだけれど、とても息遣いが感じられる、ライブな音。きっと、良い装置で聞いたら、もっと素晴らしいのだろうな。

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Gabriele Mirabassi/ Velho Retrato(Egea)

Gabriele Mirabassi(cl)、Sergio Assad(g)
‘98年録音

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February 12, 2006

Oliva Sellerio , Pietro Leveratto /Accabbanna

egea1
先月マルコのところで買ったCDは、良いものが多かった。
その中でもピカ一の1枚。

シシリアの女性歌手Oliva Sellerioと、哀愁のベーシストPietro Leverattoの二人名義で、p、ts、tp、g、per、vlnが参加している。アルバムタイトルのAccabbannaはシシリアの言葉で、”this way, over here”という意味らしい。
・・・・ってどんな意味?「こっちだよ」?

最近のEgeaって、レーベルカラーが薄れてきたと思っていた。
でも、今回手に入れた2枚のアルバム(もう1枚はRitaの)はEgeaらしさが十分に詰まっている。
録音については、以前のものと比較すると、作り込まれた感触があって、あまり演奏者の息遣いが感じられず、その点は少し不満なのだけれど。

Egeaの魅力は、何と言ってもイタリアの伝統音楽とジャズの融合だと思う。
このアルバムでは、二つ(或いはもっと沢山の要素)が混じって、相当存在感が強い音楽となっている。
このアルバムは同様なコンセプトのEgeaの作品群の中でも、とても完成度が高い。
ちょっと前に出たPietro Tonolo のItalian songsなんて、題材こそイタリアの歌だけれど、ジャズのフォーマットに乗っただけの演奏で、それほど面白いものではなかった。(多分Egea以外のレーベルから出ていたのだったら、喜んで聞いていた。)

Oliva Sellerioの声は、「地を這うダミ声」って感じで、僕の美的感覚から言うと女性voの範疇から完全圏外なのだけど、すごく魅力的だ。
これほど情念を露わにしたヴォーカルって、僕は初体験。
Abbey Lincolnを聞いた時も相当ショックを受けたけれど、それ以上。

曲は殆どシシリアの伝統音楽を題材に、それにPietro Leverattoのオリジナルが2曲、オーネットのWishesって曲が一つ。
シシリアの音楽ってよく知らないけれど、どれもモダンで、かつ切ないアレンジがされている。
情念の演奏家OlivaとPietroの二人以外は、サラッと精錬された演奏スタイルであることも、良い音楽になった理由かもしれない。
このヴォーカルを生理的に受け付けない人も多そう。僕も、ぎりぎり。
また、手にする人は少なそうだけれど、音楽好きな人には聞いてもらいたい気もする。
僕同様、おーぉ!って感激する人も、少しは居るかもしれない。

どの曲も魅力的なのだけれど、1曲目の“Canti di la Vicaria(Song for the Vicaria Prison)”が、すごくいい。
何の楽器か分からんドローンと、ゆったりしたベース、打楽器、VlnをワルツのリズムにOlivaの声が鳴り響く(何気なく入ってきた娘が顔引きつらして、出て行ってしまったくらい)。
対するtp、ts、pの洗練されていること。その対比が面白いし、鮮やかだ。
歌の後に、tp、tsのインタープレイが素晴らしい。
それほど白熱することなく、ただ淡々と進んでいくのだけど、音楽を推進させる力を強く感じてしまう。

4曲目Spartenza(Separation)はゲストのVln奏者を中心としたイントロの後に、OlivaとPietroのデュエットが続く。
とても素朴で、それが妙に感傷的な演奏。
エンディングは、ピアノとベースの二人から始まり、Vlnが加わり、それにts、tpが静かに絡みつくのだけれど、このアレンジも素敵。

10曲目Latri di passu (Mountain Brigands)は、ゆったりとしたボサノバで、このアルバムの中では少し異彩を放っている。もっともジャズらしい演奏で、Enrico Tobia Vaccaroのギターも、Mauro Schiavoneのピアノも、かぶさる管の二人も良い感じ。

それぞれの曲には、英語の訳詞が付いている。
歌われている内容も、悲しい恋であったり、死であったり、明るいものは少ない。
それとともに、1曲ごとに昔の人々の生活を撮った白黒の写真が掲載されている。
明るい表情、悲しげな表情、力強い表情。
歌(詩)と写真、皆幸せかどうか分からないけれど、時間がゆったり流れていたことは確か。
自分がこの中で暮らしていけるか分からないけれど、郷愁を感じてしまう。

Pietro Leverattoのベースに初めて触れたのは、Emanuele Cisi、Stefano Battaglia、Fabrizio Sferraと組んだコンボChangesの“Small changes(splasc(H))”だった。
イタリアには良いベースが多いと思うけれど、彼も個性が際立った演奏をする。
哀愁がこもったソロが魅力的だ。Charlie Hadenのような、ねっとり感は少ない。
発声の仕方、音使いともに、芸風に取り込みたいタイプのベーシスト。
Egeaでは、これで2枚目のリーダー作。これから、どんどん露出度が高くなるのかな。

最後にちょっと不思議なのは、この人アルバムの表記によって、Piertoだったり、Pieroだったり。
うちには6枚あるけれど、半々くらいつつ。
Philologyなんか表記がいい加減なことがあるけれど、
この人の場合、リーダーだとPietroで、サイドマンだとPieroなのかしらんね。そんな気もする。

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Oliva Sellerio , Pietro Leveratto /Accabbanna (EGEA)
Olivia Sellerio(vo), Giampaolo Casati (tp),
Gaspare Palazzolo (ts,ss) , Enrico Tobia Vaccaro (g)
Mauro Schiavone(p), Pietro Leveratto(wb)
Giovanni Apprendi Tamburi(per) , Francesco La Bruna (vln track4 only)

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October 16, 2005

Egeaの変身?

ada_pieranunzi


8月に注文したCDがマルコのお店から届いたのが先週末。
少しづつ聞いているけれど、インプレを書きたくなるような良い盤ばかり。
その中でもヘビィローテーションであるのが、このCD。
買った中で特に良いと言うわけでもない。
一方で集中的に聞いているスタンコの音楽との対比を楽しんでいるのかもしれない。

相性に疑問を持ちながらも、興味津々のメンバー。
名盤Isolでの共演が思い出される、Bebo Ferra(g)とPaul McCandless(reeds)。
その二人にピエラヌンチと、おそらくイタリアでの人気は絶大であろうと想像される女性voのAda Montellanico が加わっている。
それとb、ds、曲によっては、ボラーニ、ミラバッシとも共演歴のあるarke string quartetが参加。

このCDでの主役は、もちろん?voとピアノの二人。
ピエラヌンチの美意識が全面に現れたアルバムだと思う。
カンッォーネが似合いそうな、こてこてなAda、これでもかと出てくるピエラヌンチ節。
そこに絡むarke string quartet、Bebo、Paul McCandlessが口休めのシャーベットのようだ。

ちょっと不思議。
主役二人の音は正直言うと苦手なのだけれど(ピエラヌンチは嫌いでないけれどゲップが出てしまう)、とても良い音楽だと思う。
聞いていて、とても幸せな気分になれる音楽。イタリアを感じさせる音楽。


タイトルにEgeaの変身?と書いた。
dsの採用が増えるなど、最近のEgeaの音楽の考え方が少し変ってきたような雰囲気がするが、
大きく異なるのが、ジャケットデザイン。
今までの統一感があった黒の額縁ジャケットのルールから、全く外れてしまっている。
音楽内容は良いとは言え、Egeaのスタイルから大きく異なるため、ジャケデザインも変えたのかも。

EGEAが新しいベクトルへ??ファンとしては、とっても複雑な気分。
僕としては、室内楽、クラシック、ジャズ、未来、古典が混在した、独特な雰囲気を維持してもらいたい。
レーベルの独自性を主張するためにも、新規な路線には目を向けてもらいたくない。
最近、外国レーベルのディストリビューターも始めたみたい。ビジネスだもんね。しょうがないか。)

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September 23, 2005

Fresu - Castri - Taylor / Contos

contos
Fresu - Castri - Taylor / Contos

ブログをはじめて、随分経った。
有名盤を除くと、とっておきのCDも少なくなってきた。

Contosはその中の数少ない1枚。
名盤を沢山出しているEgeaの中でも、とても素晴らく、多くのファンがいると思う。
友達に教えてもらった、このCDを聞いて、イタリアジャズの興味を強くしたのは間違いない。

Paolo Fresu(tp)、Frio Di Castri(b)、John Taylor(p)のトリオ。
FresuとCastriは腐れ縁と言って良いほど、共演が多い。
Fresu自身のバンド、Aldo Romanoのカルテットで二人の演奏を聞くことが出来るし、二人のデュオも数枚ある。

この二人にJohn Taylorを加えるなんて、誰が考えたのだろう。
Egeaの特徴でもある室内楽的なアンサンブルである。でも、地中海の香りは希薄。

FresuとCastriは、いたずらっこ的な面もあるミュージシャン(イタリアの特質かなあ)であるけれど、
空気はピリリと締まり、硬質でひんやりしたものとなっている。
二人とも、いつものようにおもちゃ類(エフェクト類)を、鞄一杯に詰めてきたのだけど、
Johnのしかめ顔見て出せなかったんだろうな。
Johnでなければ、やんちゃなFresuとCastriから、リリカルな部分だけを絞りだすことなんて出来なかったと思う。

曲は全9曲。3人のオリジナルがバランス良く配されている。
多くの曲が、それぞれの愛奏曲であり色々なアルバムで聞くことが出来るのは、ファンにとって嬉しいこと。

1曲目Suenosを聞くことで、このアルバムの雰囲気をつかめると思う。
Castri作のタンゴのようなリズムの名曲で、彼自身、何度も録音をしている。
ピアノの弦を直接爪弾くジョンと、ゆったりしたベースの絡みで曲は始まる。
サビに入る時の、Johnのコンピングが、とってもかっこいい。

2曲目、Evan Songと3曲目Walk aboutは、それぞれJohn、Fresuの作曲。
前者は建築的?な美しさを持ち、後者はファンク、4ビートが融合したような曲。
ともに、二人の特質が現れた曲だと思う。
ここまで、どちらかというと、硬質なムードである。

4~6曲目Satie(Fresu)、Evening Song(Castri)、 Ninna Nanna Per Vale(Fresu)では、
温度は冷たいのだけれど、丸みを帯びた、優しい感じの雰囲気に。
ローソク明かりで見る、掌の雪の塊みたい。

僕は、このアルバム全部が好きなのだけれど、前半と中盤部分のムードの入れ替わりがとても好きだ。
Evening Songはストップ&ゴーを繰り返す、ゆったりした4ビート。
静かな月夜に、時折強い風が吹いて、雲に月が隠れるのだけれど、また元に戻る。
そんな感じの曲。

このアルバムは’93に録音された古いアルバムだけれど、内ジャケを見ると、
Contrappunto Jazz Clubと言うお店でのトリオの演奏写真が見られる。
様子を見ると、CastriもJohnも手が止まっている。Fresuによるカデンッァかしら。
この3人の演奏を生で聞けたなんて、うらやましい限り。

このアルバムをキカッケに、JohnはEgeaとの繋がりを強くしていったのだと思う。
Gabrile Mirabassi(cl)との共演が目立つけれど、他の人との演奏も聞いてみたい。

追伸1:ジャケ
Egeaには、謎のジャケも多い。これは竜????
他には、大空で叫ぶ謎の大男(phone)(・・・・リンク先の下あたりに写真あり。)なんてのもある。


追伸2:小さい悩み。
インプレ書いていて、悩むのは名前の表記。
音の表記は難しいので、片仮名で書くことはあまりしないのだけれど
(アバクロ、ジョンスコみたいにあだ名があるのは別)、姓・名どちらで書くのか、よく悩む。
最初の方は親しみを込めて1stネームを、主に記載していたのだけれど、最近はごっちゃに。
ここでは、Fresu, Castri, John。統一感無いけれど、まあいいか。


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September 18, 2005

もう1枚秋のアルバム Gabriele Mirabbasi & Stefano Battaglia / Fiabe

fiabe
もう1枚、秋になると聞きたくなるアルバムがある。
ボラのLes Fleurs Bleuersと同様、秋に購入したCDだ。
これも初めて聞いた時の印象が強烈だったのだけれど、、
ボラのCDのように、それが、秋の空気(日差し、温度、風…)と結びついたのではなく、
音楽そのものと、ジャケットデザインを含めた、トータルの作品として、秋の夜を感じてしまう。

ジャケットデザインはEGEAの典型的なものだけれど、その中でも特に美しいと思う。
満月と、可愛らしい花、その向こうは月の光に照らされた山かな?
(そう言えば、知人は全然違うモノと言っていた。)

このアルバム、Gabriele Mirabassi(cl), Stefano Battaglia(p)とのデュエット。
タイトルfiabe(fable)は寓話と言う意味らしい。うん、そんな感じがするかもしれない。
中古屋フリージャズのコーナーにあっただけのことはある。中盤5~7曲は多少、抽象的な展開。
でも、他はとても美しいメロディのオンパレードだ。

Battagliaは、イタリアを代表する若手ピアニスト。
Danilo Rea, Stafano Bollaniと同じくらい好きだけれど、この二人と比べると、よりアーティステック。
とてもクールで、完璧主義者的でもあり、彼が演奏しているのは、
遊びを排除した音楽、極限の美しさを求めた音楽だと思う。
僕が気になるReaもBollaniも、あとEsbjorn Svensson等、多くのピアニストが、
自分の音楽に70、80年代のポップスの影響を見せているのだけれど、Battagliaの音楽には、それが無い。

Mirabassiも、Battagliaと似たテイストをもった音楽家だと、僕は思う。
とにかくクラリネットの音が美しい。出てくる音列も美しい。
僕が今まで聞いた音楽の中では、この楽器が必要以上に、きしんだ音で鳴っていることが多かったのだけれど、
Mirabassiは、おそらく楽器が持つ最高の音を出しているのだと思う。
(Mirabassiをきっかけに、Mauro Negri, Michel Moore, Gianlugi Torovesiのように世の中には素敵なcl奏者が沢山いることを知った。)

こんな、極限的な美意識を持つ二人のデュエット。
僕が聞いた音楽の中で、最も美しく、研ぎ澄まされたものだと思う。
(質が違う美しさは沢山あって、Shorterも、ボラも、Kennyも、
その手の音楽では、一番美しいのだけど。…いい加減です。)

演奏される曲は、書き譜の割合が、一般的なジャズに比較すると大きいかもしれない。
この二人は、多くのジャズアルバムに参加しており、インプロヴァイザとしての高い能力は周知の通り。
とても美しい音楽を創るための、一つの手段として、書き譜を多くしたのだろうと、想像できる。
* BattagliaがKonitzと組んだItalian Balladsは、方法論としては、ごく普通のアルバムだけれど、
 とっても美しい。色んな美しい音楽が、色んな手法で創られるのだよなあ。

ゆったりとした静かなピアノのアルペジオの上で、クラリネットとピアノが淡々と主旋律を歌い上げる1曲目 Kiem。
一転して、アップテンポで、少しキャッチーなメロディの2曲目のMattino。
少しシニカルなで、夕焼けをみているような気分になる3曲目 Mereth Becky。
パーッカシブなBattagliaのピアノとMirabbasiのバスクラがスリリングな、4曲目Saltarello。・・・・

本当に不純物の一切入ってない音楽だと思う。
Egeaのアルバムは、ジャケと中身の音楽がよく一致しているけれど、このアルバムも良い例。
1曲目をちょっと聞くと、不思議な魅力的なジャケットが頭にすぐ浮かぶし、
逆にジャケットを見れば、1曲目のとてもキレイなメロディが頭の中を流れてくる。

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Gabriele Mirabbasi & Stefano Battaglia / Fiabe (Egea)

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July 12, 2005

甘酸っぱい Danilo Rea / Lirco

lirico1


'03に録音されたDaniloのソロピアノによるオペラ曲集。
pucciniの″madama butterfly″、″tosca″、bizetの″carmen″、bernsteinの″west side story″…からの選曲。
きっとクラシックファンだったら、知っているメロディも多いのかもしれない。

殆どクラシックを知らない僕には、皆Daniloの作曲のように聞こえてしまう。
5、6年前にDaniloが率いるdoctor 3を初めて聞いて、彼のピアノを大好きになってしまった。
doctor3の他、Pietro TonoloNicola StiloAldo RomanoRoberto Gattoとのコラボなど、
彼の色々な演奏に接っしてきたけれど、通じて感じるのは甘酸っぱさ。

これは、彼のバックグランドの一つであろう'70~'80のポップス的なセンスとあいまって、懐かしい感触とも言える。
このアルバムでの演奏は、クラシカルな響きがするけれど、
他の作品以上に、甘酸っぱさ、懐かしさがジンワリと染み込んでくる。

彼の魅力はtightropeを走りぬけるような危なさと、胸キュンな部分が同居しているところにあると思うのだが、このアルバムでは前者は薄めで、Daniloの優しい部分が濃縮されている。
官能神経をくすぐる音楽って、こんなものかもしれない。
…官能なんて言葉、なかなか出て来ないけど、思わず使ってしまう。

有名な曲について、何も知らない僕が、それぞれにコメントするのはヤボなもの。
daniloファンは、仮に僕みたいにオペラを知らなくても、
下の曲目リスト、ジャケットで音を想像してごらん。それで、もちろん聞いてもらいたい。

音量、音色、メロディ、リズム、感情…大きなダイナミックレンジに驚き、甘酸っぱ~い気分に浸れると思う。
ちなみに僕が特に好きになったのは3、5、9曲目。
危なさが薄いと言いながらも、スリリングな場面も各所に。

1. IL SOGNO DI DORETTA da "La Rondine" (Puccini arr. D. Rea)
2. MON COEUR S'OUVRE A TA VOIX da "Sanson et Dalila" (Saint Saens arr. D.Rea)
3. INTERMEZZO da "La Cavalleria Rusticana" (Mascagni arr. D.Rea)
4. ENVAIN POUR EVITER da "Carmen" Bizet arr. D.Rea)
5. UN BEL DI VEDREMO da "Madame Butterfly" (Puccini arr. D. Rea)'
6. LUCEAN LE STELLE da "Tosca" (Puccini arr. D. Rea)
7. VA PENSIERO SULL'ALI DORATE da "Nabucco" (Verdi arr. D. Rea)
8. L'AMOUR EST UN OISEAU REBELLE da "Carmen" (Bizet arr. D. Rea)
9. MARIA da "West Side Story" (Bernstein arr. D. Rea)
10. RECONDITA ARMONIA da "Tosca" (Puccini arr. D. Rea)

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May 21, 2005

今年の一番(きっと) John Taylor / New Old Age

newoldage



今年出会った中で、最高のCD。
…とD'Andreaの新作で書くはずだったのに。
Johnを中心とした接点は、あったのだけれど、John Taylor, Steve Swallow,Gabriele Mirabassiのトリオなんて想像できた?

躊躇なく、″このアルバムを是非聞いてみて″と言える作品だ。
Johnの代表作でもあるnew old ageから音楽はスタートする。
すぐそれと分かるピアノのイントロにSteveの高音部を中心としたソロが載り、
次いでピアノとクラリネットのユニゾンによるテーマが始まる。

大袈裟かもしれないけれど、この瞬間が衝撃的だった。
以降、鳥肌、安息、驚き、幸福感、興奮…の連続。
僕はこれを通勤電車の中で聞いたのだけれど、ニヤニヤしたり、しかめ面したり、とても変なおっさんだったに違いない。

JohnとGabrieleの参加アルバムは結構聞いているし、Steveについても面白そうな作品はチェックしているつもり。
ここでの演奏は3者の相互効果なのか、Egeaレーベルのマジックなのか、いつも以上に凄いことになっている。

特にGabrieleのこんなに感情的な演奏を聞くのは初めてだ。
彼のスゴさの一つは、どんな時でもクールで、感情を抑えつつ最大限に高揚していくところだけれど、
その彼が感情メロメロのソロを取っている。

Johnにしても、今まで他のピアノに浮気してごめんなさい、って演奏。
ボラーニ他の多くの素晴らしいピアニストと比較することは意味無いけれど、
この人の、こんなにストレートにきれいで、スリリングな演奏も久しぶりだ。

CharlieとのDuoもKennyとのDuoも良かったけれど、相方に拘束された面も見え隠れしていたように思える。
タメの効いた、ギリギリまで長い音のフレーズから、一気になだれ込む高速フレーズ。
それから、とても、甘~く綺麗に歌うソロ。
ここでは、全てが良いし、Johnの魅力が最大限に引き出されている。

Steve Swallowは、いつもと変わりなく(?),Mad Scientist のような雰囲気でエレベを操っているのだろう。
彼の怪しい雰囲気が、one and onlyで、信じられないくらいキレイな音が、マジックを産んだ?
この人が、他の二人にこれほど、しっくり合うなんて想像できなかった。

演奏される曲は3者のオリジナルがバランス良く配されている。
僕の知っているのは、JohnのNew old ageとEvans aboveのみ。ともに、Ersikine trioで演奏されていた。
Johnは、もう1つ”Q2”という曲を提供。昔”Q”という曲があったけれど、関連性はうーむ。

Steve、Gabrieleの曲は、初めて聞くものばかりだけれど、とてもいい曲が並んでいる。
6曲目Arise, her eyesは、Steveの曲だろうなと感じさせる曲。タイトル同様、美しい曲。
3曲目、Vaguely Asianも妙なタイトルだけれど、美しい。彼は、ほんとうに良い作曲家だ。
Gabrieleの書く曲は南欧の雰囲気で一杯。
ジャズ色は薄いのかもしれないけれど、3者によって縦横無尽にインプロヴァイズされ、とても素敵な仕上がりになっている。

以前も書いたけれど、Egeaに参加する、非イタリア人は少ない。
目に付くのは、John TaylorとGil Goldstein。
Kennyや、Paul Motianみたいに、参加したのは良いけれど、ちょっと場違いかな?という人もチラホラ。
Steve Swallowは意外にも、Egeaにピッタリなミュージシャンだった。
(Egeaでエレベってのも、びっくりだったのだけれど。)
う~ん。この人には、また、あっと言わせるメンバーと一緒にやってもらいたい。
ラバ?ボラ?それともべボフェラ?
また、あっと思うような意外なミュージシャンを登場させて欲しい。

Egeaは、やっぱり目の離せないレーベルなのだ。

<付録:関連作品>
racconti_mediterraneimoonnel_respiroLifeOfATrioSunday







① Racconti mediterradian(EGEA)
Enrico Pieranunzi, Gabiele Mirabassi, Marc Jonhsonのトリオ。今回のアルバムを注文した時、とっさに浮かんだのがこのアルバム。それから、Steveではなく、Marc様がベースだったら、と思った。Marcのバージョンも聞きたいけれど、予定調和的なものに終わったかも。やっぱり、今回のトリオは、意外性の点ではピカイチだ。

②Moon(EGEA)
John, Kenny Wheeler, Gabriele(ゲスト)のトリオ。二人の巨匠を前にして、Gabrieleは緊張しているような印象。

③Nel respiro(Provocateur)
イタリアの超絶Vo Maria嬢と、John、Ralph Townerのコラボ。Verseという名盤があるけれど、これにはSteveのベースが参加。JohnとSteve Swallowって他に接点ある?
(*追記(5/22) 二人のduoアルバムってありましたね。)

④The life of a trio(owl)
Paul Bley, Steve, Jimmy Giuffreのトリオによるライブ。これも、今回のトリオと同じ編成。
関係者の誰かは、このアルバムを頭に浮かべたのだろうか?でも、似ても似つかぬサウンド。どちらも、すんげーけれど。

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John Taylor / New Old Age (Egea)
John Taylor(p), Steve Swallow(b), Gabriele Mirabassi(cl)
’02 9月?に録音

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April 12, 2005

Pietoro Tonoloのduoアルバム

Egeaはduoアルバムの宝庫だ。
Sax奏者のTonoloの他、Enrico Pieranunzi(p)、Gabiriele Mirabassi(cl)が相手を変えながら何枚かのアルバムをリリースしている。
どんな編成にしても演奏者(聴衆も)は同じ空気を感じる必要が有るのだけれど、duoではその時に生れる緊張感が特に強く感じられるので好きだ。
リスナーにしては、良い音楽だと分かっても、同じ空気(特に僕の場合はリズム)が感じられない時が有るのだけれど、何度か聞いて、それがすっきりすると嬉しい。

Tonoloの相手はPaolo BirroとDanilo Rea。Birroもこのコンパクトな編成が好きなのか、Emanuele Cisiと2枚(May dance, Hidden song), Massimo Salvagniniと1枚(Vivo sonhando)のduoアルバムを作っている。Claudio FasoliのResumeでも4曲が二人のduetだ。

Reaは、このブログにも何度も名前lが挙がっている僕のお気にいりのピアニスト。テクニックも凄いし、感情にまかせた高揚感がスリリング。
主従が終始入れ換わるduoでは相手を選ぶかもしれないけれどTonoloだったら申し分無い組み合せだと思う。

Sotto la luna
sottolaluna
ReaとのDuo。
′98のThearo del Pavone di Pergiaでのライブパフォーマンス。Egeaはホールでの一発録が多く(おそらく)、ライブ録音は珍しい。

3、5曲目:静かな曲調の中で爆発寸前のreaのピアノが格好良い。
7曲目:神様に祈るようなシンプルな3拍子の曲。
たんたんとメロディを綴るtonoloのs sax、それに続くreaのソロ(ひょっとしてフリーなインプロ?)が美しい。


Autunno
autunno
こっちはBirroとのduo。
ジャケット、アルバムタイトル(多分autumn?)から秋を感じる。
先入観もあって、この季節に聞くことは少ないのだけれど、繰り返し聞いてしまった。
Sotto la lunaはライブでもあったためジャズ的なハプニングを期待したのかもしれない。
比較的単純な構成が多かった。

それに対し、Autunnoはきれいなメロディが多い一方で、凝った構成の曲が多い。
アンサンブルを重要視したのか。
テナーよりソプラノを使う機会が多いが、ピアノ高音部との微妙な調和を期待したのかもしれない。
アドリブソロは無しでテーマのみで終わる曲もある。

好きな曲ばかりなのだけれど、
5曲目は少しひねくれたイントロ、ルバートによるテーマの提示を経て、
強烈にスイングする4ビートのソロパートに突入する。
このアルバムの中では最もジャズらしい演奏。かっこいい!

8曲目も変わった(陰鬱な)イントロ。
これ以上続いたら嫌だよなと思っていると、
突然可愛いらしさ、美しさに微量のほろにがさが混ざったソプラノのメロディが飛びこんでくる。
他にも寂しげなジャケットを想像させるような1曲目、
タイトル(luna park)もメロディも優雅なゆったりしたワルツの3曲目、ワイルドにブローする9曲目など…
魅力たっぷりなアルバムだ。

このアルバムではBirroが、まっすぐなBleyという感じ。これも新しい発見だった。

追記:
TONOLO3
2枚ともとってもいいアルバムだけれど、Tonoloは’94にもピアニスト4人とのDuoアルバム(Simbiosi)を作っている。Birro、Reaのほか、Rita Marcoturri, Riccardo Zengaが参加。
ちょっと古い録音だけれど、こちらも、お勧め。


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Pietro Tonolo(ts,ss) & Danilo Rea / Sotto la luna (Egea)
'98 録音

Pietro Tonolo(ts,ss) & Paolo Birro / Autunno (Egea)
'01 録音

Pietro Tonolo/ Simbiosi (Splasc(h))
Pietro Tonolo(ts,ss) , Paolo Birro(p), Danilo Rea(p), Rita Marcoturri(p), Riccardo Zenga(p)
'94録音

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April 10, 2005

緑、ちょっと湿った温暖な気候 Pietro Tonolo & Bebo Ferra /Retro

retro
二人とも、イタリアを代表するミュージシャン。
イタリアのCDは増えつつあるけれど、この二人のいずれかが参加しているから、
と言う理由で選んだものも多い。

Pietro Tonolo (ts,ss)、Bebo Ferra (g)に、Luciano Titi(accordion), Pietro Leveratto(wb)の加わったカルッテト。
多分リーダーが決まっているわけでもないのだろう。
4人が、バランスよく、自作曲を提供している。
とても、Egeaらしい楽器編成、サウンド。

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January 11, 2005

EGEAレーベル

barcarolaイタリアには僕の好きなレーベルが幾つもある。EGEA、Philology、Splash(H), SoulNote, Via veneto, Siena Jazz, Red….
皆それぞれ、特徴があって面白い。最初の1枚のD’AndreaのJobimはPhilologyから出ている。
Philologyは、プロデューサーでもあるPaolo Piangiarelliが一人で切り盛りしているような雰囲気。
Lee Konitz, Phil Woods, Chet Bakerなどアメリカの演奏家とも親交が厚く、イタリアミュージシャンとの競演のもとで、沢山の楽しいアルバムをリリースしている。

EGEAは、この中でもイタリア色(あるいは地中海の色彩)をもっとも強く出しているレーベルと感じている。

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