August 20, 2006

Aria/Bebo Ferra & Paolino Dalla Porta

Aria

久しぶりのブログ。
相互リンクさせて頂いていたSuzuckさんに素敵な新譜を教えてもらった。
僕もこの二人を追いかけてる。
ギターと、ベースのduoアルバムだ。
日本発売(10/25)なんて待てず、すぐ通販してしまった。
EgeaのIsoleで出会ったのが初めてで、友達にも教えてもらいながら、色んなのを聞いてきた。
同じデュエットの”Bagatelle”、dsを加えたトリオの”Sundance”、ベボのリーダーアルバム”Mari Pintau”、ポルタのリーダー作“Esperanto”、サックス奏者Micheal Rosenの2枚のアルバム。
競演暦も長く、感性も似た二人、このアルバムはお気に入りの二人のDuo、悪いわけが無い。
…BeboはMauro Negriとファンクをやったり、Portaはフリー系をやったり、重ならない部分もあるのだけれど、地中海テイストの肝の部分はバッチリなのだよな。
Bagatelleは聞いたのが秋の終わりで、そのせいか強い哀愁感をイメージしてしまうのだけれど、新作は今の季節にぴったりのイメージ。たまたま今日も雨がちらついて、体感的にはうっとおしいのだけれど、じっとりさを感じるのが、かえって嬉しくなってしまう。

音楽は演奏形態が同じでも、演奏者が異なれば、またその時々の環境も異なれば、違うものが生れてくる。
ここで聞けるのは、ベボとポルタのユニークなモノだと思うけれそ、大きなくくりで言うと地中海に住む人の音楽だと思う。同じ編成だと、僕はRalph Townerとゲリピーのduoが大好きなのだけれど、当たり前だけれど違う世界。
でも、Ralphとゲリピーが好きな人だったら、この音楽も気に入ってもらえると思うし、地中海のジャズを聞いたことなかったら、とても新鮮に感じるかもしれない。

Suzuckさんが、おっしゃるように、ポルタがスゴイ張り切りよう。
ポルタのピッチカートは強い方であるけど、このアルバムでは、いつもの倍くらい力が入っているかも。
思い余って、隣の弦を弾いてしまってるところも見つけてしまった。弾いた指が手のひらに当たるパキンって音もよく聞こえる。
他のアルバムと比較して、繊細な部分より、情感的熱いなポルタを堪能できる…かな。
この人、音とアーティキュレーションが好き。
柔らかいのだけれど、ベタベタでない。説得力があるのだけど、押し付けがましくない。
強いピッチカートでもゴリゴリ感がなく、どっちかと言うと柔らかい音質。
早いパッセージでも、スムーズさと、スリル感が同居している。

写真を見ると、イケメンが、少しオジサンの風貌になってきたよう雰囲気も。
Beboとの競演以外だと、Stefano Battagliaの演奏も大好き。こちらも、新作は無いのかしらん。

アルバムの詳しい、内容はSuzuckさんのブログをご覧下さい。

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April 09, 2006

Nico Morelli meets Mauro Negri / Colours

Nmorelli_colours


MirabassiのDuo盤に引き続き、もう一つduo盤を紹介。
これは同じくイタリアのcl奏者NegriとピアニストNico Morelliの共演。
言い方が悪いかもしれないけれど、Mirabassiのduo2枚は二人の会話を超えていて、
自然界に溢れる何かを翻訳して、それを放出しているようなところもあるけれど、
(ちょっと神がかりって言うか…)、こいつは生身の二人の人間の演奏。
音楽の種類の違いであって、良し悪しでは無いから…。両方のスタイルともすき。

Nicoは初めて聞くピアニストだろうか?真っ直ぐ突っ走るタイプ。
ちょっと手癖的に3連フレーズを多く使うのが、少し気になるときもある。
Battaglia, Bollani, Rea, D’Andrea, Birro…沢山のイタリアのピアニストの中では、残念ながら見劣りするかも。
バリバリのテクニックを駆使するわけでも、ヘンテコなことをやるでもない。

そんなことを言いながらも、いいアルバムと思うのは、二人の作曲とNegriの演奏があるからか。
Negriは、このアルバムでもclにだけに専念している。
John Zornを思わせるような(彼のソニークラーク集て、面白いんだよな)、制御されたきたなーい音から、
歪みの全くない可憐な音まで、自由自在。
クラって音が潰れるほんの手前のコントロールって微妙で、位相?が変化するっていうか、場面がふっと動くっていうか、そんな感覚が得られるときがある。それが、メロとあいまって、とても胸に染み入る瞬間がある。
このアルバムでも、そんな場面が沢山ある。

昔ながらのスィングや、クラシック寄りの音楽には不適かもしれない。でも、現代的なジャズにぴったりの音色。
以前、僕はclって楽器に誤解を持っていたけれど、Negriの演奏を聞いたら、この楽器をやりたいと思う人が増えると思う。
色々なコンテポラリージャズの名曲が、Negriのクラで演奏されることも想像したくなってしまう。

Negri作曲の1曲目Elenaは女性の名前?イタリアジャズらしい、やさしい旋律の曲。
2曲目Ovanque comunqueはピアニストが好きそうなテクニカルなリフで構成される。
Nicoの一本調子のピアノソロには、やや辟易気味かな(全体的に、そう。)?
途中MonkのHackensackを挟んで、残りは二人の作曲で、全9曲。
Hackensackは、Negriの暴れん坊ぶりが楽しい。Monkの曲調とも、とってもあっている。
クラシックを聞く人が、こんな音を聞いたら、怒ってしまうかしらん?

Negriは4曲提供。Elenaに、Mani、Paris,それからPupi。
そっけないくらい簡単な曲名ばかり。Elena同様のキレイなメロディばかりだ。
キレイなメロだからこそ、シンプルなタイトルかも。
やんちゃな印象もあるNegriのロマンチックな部分を中心に聞けるのが、このアルバムの魅力の一つだ。
Parisは、ゆったり16ビート。曇り空のパリを、大またに闊歩する。そんな印象か?
他の曲でも、そんな場面が多いのだけど、二人のユニゾンのテーマは、音域の関係で、少しねじくれた不思議感触がする。
Negriの楽器コントールのショーケースになっているような演奏。

Negriのことばかり書いてしまったけど、ピアノのNico氏。
Duoって演奏形態を聞く限り、ちょっと僕の好みからはずれるかな。
でも、Negriの曲同様、皆良いメロディだ。

まとめちゃうと、とてもイタリアらしい(多分…・。僕の感覚)メロディ満載の、愛すべき1枚。

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Nico Morelli meets Mauro Negri (Splas(H))

'02 7録音

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January 28, 2006

Mauro Negri /line up

line_up
イタリアのcl 、ts奏者Mauro Negriの新作。
Furio Di Castri(b)、Paolo Birro(p)、Fabrizio Sferra(ds)のカルテット。
僕にとっては、ちょっとしたオールスター的な組みあわせだ。

ジャケットを見ると、いつのまにNegriもスキンヘッドに。多いよね~。なんでなんだろう。
でも、きりっとした面構えで、期待してしまう。

Negriは、僕の大好きなもう一人のcl奏者Gabriele Mirrabassiとかなり違うタイプ。
非ジャズ的などちらかというと、クラシックの香りがするMirrabassiと、ジャズ臭プンプンのNegri。
clって楽器に興味を持たなかった僕が殆ど同時に二人を好きになってしまったのも面白い。

Negriのことを初めて興味を持たのは、確か’96のリーダー作“So funky”。
いつも一味違うBebo Ferra(g)を擁した、中々強烈なファンクバンドで、tsも吹くNegriが全曲をClarinetだけを演奏している。
とてもクール。でもファンクだもんね。熱い。
″スイングしたcl″って文字を見ただけでお断りって僕だったけれど、
熱さ、クールさ、洗練、繊細、大胆…色々な要素がバランスした演奏に、とても魅力を感じた。

似たミュージシャンを挙げると同じマルチ管楽器奏者のMarty Ehrichあたりかしらん。
強烈なインプロバイザであるけれど、それほど饒舌さは感じない。

このアルバム、1-4曲目と後半5-8曲目でテイストが違う。
前半はロフトジャズ的なシリアスさ、ユーモアがが混じった世界。後半は胸キュンなメロディが飛び交う世界。
Negriにも、こんな胸キュンな部分があったのか、と再確認した次第。
LPだったら、体調で聞く面を選んでしまうだろうな。きっと。

・・・と書きながら聞いているのは5曲目からだから、今日は疲れ気味。
ゆったりしていて、ちょっと胸にひっかかるキレイなメロディの3拍子の5曲目。
イタリアミュージシャンらしい、湿っぽさをもった8ビートの6曲目。
Paolo BirroとのDuoで奏でられるIn a sentimental mood。。。これがすごく良い。
前曲のIn a sentimental moodがイントロのような雰囲気でもある、甘~いバラードが8曲目。

アルバム全体も見ると、Frio Di Castriの露出度がかなり高い。
以前ベーシストの友人がCastriはVitousをかなり研究しているって言っていたけれど、なんとなく分かったような気がした。

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Mauro Negri /line up (double stroke)
Mauro Negri(cl) 、Furio Di Castri(b)、Paolo Birro(p)、Fabrizio Sferra(ds)
’05 7月録音

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Ettore Fioravanti/Ricercar Scintille

fiora
今週は、東北に出張があったりしたので、電車の中でインプレ用にメモをかなり書いた。
今週末は、先日届いたCDの中から3枚は紹介できそう。

ピアノの前の4人の笑顔が楽しいジャケット。
Ettore Fioravanti(ds)、Stefano Battaglia(p)、Pietro Tonolo(ts,ss)、Steve Swallow(b)のカルテットだ。
スキンヘッド流行の最中、Battagliaは髪を伸ばしたのかと思ったら'97の録音だった。
こんな可愛いい笑顔のBattagliaも珍しい。
Tonolo は、この頃から帽子をかぶっていたんだ。

これは再発なんだろうか?
10年弱お倉入りだったとしたら、その理由は何だったのだろう。とても良いアルバムだと思う。
('98の日付のライナーノーツがあるから再発かな?)

メンバーで僕が知らないのはリーダーのEttore Fioravantiのみ。Enzo Pietropaoliの兄さんのような風貌だ。
他の3人は僕には馴染み深いミュージシャン。
Fioravantiも僕が知らないだけで、マルコのHPを見ると31枚も参加アルバムがあった。
一昔前のPaolo Fres関連が多い。うちにあったのは、Roberto Ottaviano/ above us (splas(h))のみ。

Steve Swallowはベーシストとしては個性が強烈すぎて、
彼が参加することでアルバムカラーが決まってしまうきらいがある。
このアルバムもSwallowのベースを胡散臭く思うか、どうかで好みが分かれそう。

Swallowの作曲したファンク・ブルースから始まる。
馴染み深い曲が幾つか収録されているし、ちょっとアブストラクトなものから綺麗なメロディまで、多彩な曲構成で聞いていて飽きることはない。
ジェントルなTonoloのファンクチューンも珍しいかも。
でも、この頃はモチアンのelectric be-bopバンドでも、そんな曲をやっていたかもしれない。

2曲のファンクチューンを除くと、イタリアのジャズだなあと思わせるところが多い。
南欧からバルカンの辺りの雰囲気を持ち合わせた曲が多い。
作曲の上手いドラマーが多いけれど、Fioravantiも3曲を提供している。
2曲目Girotonoda、6曲目Istrica、8曲目Polka Locaがそう。
前者2曲は、Tonoloのテンダーなtsの音色にとてもマッチした曲で、
ギターのような(ギターよりも)クリアな甘い音で迫るSwallowの使い方も、とても良い感じ。

5曲目Peter Herzog(Pietro Tonolo)は、TonoloのSimbiosi(splas(h))でも演奏されていた曲。
それからラストのKeimは名盤Fiabe(Egea)で、BattagliaとGabriele Mirabassi(cl)の最初を飾っていた。

大好きな2曲が、違う編成で演奏されているのもうれしい。
Keimは、Mirabassiの吹いていたメロをSwallowがまず弾いていて、その上にTonoloが被さってくる。
Fiabeでの二人の演奏が良すぎるのだけれど、ここでもSwallowが健闘。
One and Onlyのきれいなソロを展開している。
Fiabeみたいに鬼気迫ってはおらず、「Tonolo効果」でゆったりした気分になれる。

4曲目New Folk SongもBattagliaの作品。(この人Folkって曲もある。)
この人らしい牧歌的なメロディを持った、バルカン的な要素もある、早めの3拍子の曲。
様々な展開があり、本アルバムで一番の聞き所かもしれない。

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Ettore Fioravanti/Ricercar Scintille (Splas(h))

Ettore Fioravanti(ds)、Stefano Battaglia(p)、Pietro Tonolo(ts,ss)、Steve Swallow(b)
’97 10月録音

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December 03, 2005

Enrico Rava/Tati

tati
ラバ、ボラーニ、モチアンのトリオ作品。lysisさん、ごく最近にアーティチョークさんがレビューを書いていて、僕も早く聞きたかった。

ボラーニにとっては、ラバの前作easy livingに続く2回目のECMへの登場だ。

ラバ、ボラのデュオに、モチアンが加わった音って他レーベル(※)では想像がつくのだけれど、ECMってだけで分から~ん状態に。
※ と言ってもlabel bleuもphilologyもあり得ず、soul note位しか浮かばないけれど。
ちょうど1年前の、二人のデュオライブではモチアンとトリオでアルバム作るんだと言っていたけれど、ECMとは思わんだ。

ボラってきれいで、可愛いらしいピアノを弾くなあ(それも不思議な方法で)と改めて強く思うし、その部分をギュっと絞り出したのは、やっぱりECMの力(マジックとは思わん)なのかしらん。
全体としての印象は、『この組みあわせ、面白い。だから、camかegeaかlabel bleuで、もう一枚作って!』て感じ。

2曲目のサティを思い出させるようなモチアンの作曲″bird song″なんて、いかにもボラーニらしくて、ちょっと可笑しかった。
お母さんに、いたずらを叱られて、ベソかきながら、おもちゃ箱触っているような雰囲気がある。
アイヒャー母さんの好きそうな、これまでもかって響く耽美なピアノはボラーニの「ヒミツヘイキ」なので、舌ペロ出して、どんなもんさ、て弾いているのかも。

僕としては、もう少しだけ、陽気ではちゃめちゃな部分をもっと聞きたかった。
そういう意味で、楽しめるのは4曲目casa di bambola、6曲目mirror、7曲目jessica tooあたり。
casa…、mirrorは言うことの無い素晴らしい出来だ。ラバ・ボラのデュオはゆっくり歩いたり、
止まったり、小走したり…周りの空気も、微風が吹いたり、さあっと天気雨降ったり色々なのだけれど、モチアンもとても良く反応してる。
(フリゼル・ロバーノトリオのdsに失礼なことを言ってはイカン。)
しかし、ちょっと物足りない。
jessica…なんて、きっとライブだったら、どうなっちゃうんだろうって盛り上がるのだろうに。期待一杯の瞬発力溢れるイントロなのに、残念。

アーティチョークさんのところでも、コメントしたのだけど、昨年のライブではオーネットの名前をちらっと出していたのは10曲目Cornettology?
ラバがちょっとやってみようと言った時のボラの反応が面白かった。

「本当にやるの!?」

CDだとtp、ピアノのリフとdsの掛け合い的なテーマだけれど、ライブではボラがdsのかわりにガッガッって弾いてたのかも。

エンディングはモチアンのオリジナルをラバ・ボラの二人で静かに。
とても、きれいなバラードだ。

ちょっと蛇足だけれど、1曲目the man i loveは、アーティチョークさんは「まるで酸いも甘いも知っている恋多き女のけだるいつぶやきのよう」と感じたとのこと。
僕は全然違って、男の純情みたいなのを感じた。無理矢理解釈すると、「遠くの貴女はきっと今も僕のことを想っているのかしらん」…と。
ラバだったら、ありそう。

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ENRICO RAVA / TATI (ECM )
ENRICO RAVA (tp)、STEFANO BOLLANI (p)、PAUL MOTIAN (ds)
‘04/11 録音

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November 10, 2005

Mirco Mariottni trio / Nugae

Nugae

Mirco Mariottiniというcl奏者、それからStafano Battaglia(p), Paolino Dalla Porta(b)のトリオ。
リーダーのMariottiniは初めて知る名前だ。
イタリアにはMirabassi, Negri, Trovesiなんて素晴らしいcl奏者が沢山居るけれど、
この人はどんな感じだろうか。
BattagliaとDalla Portaは、僕の大好きなミュージシャン。聞く前から期待が高まってしまう。
同じ楽器編成であったPierannzi- Marc Johnson, MirabassiのRacconti mediterranei(Egea)や、
BattagliaとMirabassiの名作Fiabe(Egea)が頭に浮かんで、思わず比較してしまう。

一言。これは、素晴らしい。・・・・上記2枚と比較できないくらい。
11曲のうち、タイトル曲Nuga I, IIを含む4曲以外は全て、Mariottiniの作曲。
演奏、作曲についてもMirabassiと似たセンスを持っていると思った。
ただし、Mirabassiはジャズのバックグラウンドをそれほど感じないけれど、幾つかの曲で明らかなように、
Mariottiniには60年代後半のフリー~コンテンポラリーなものまで色々な種類のジャズの影響を感じる。
ジャズ寄りという点ではNegriに近い?
まあ、Splasc(H)という、ちょっとひねたレーベルカラーによるものかもしれない。
確かにドルフィ的な曲想・演奏が聞ける4曲目G.W.G.のような曲、きしんだ悲鳴のようなclが続くNugae IIのような曲は、Egeaで絶対聞くことは出来ないし、MirabassiもSpalasc(h)であれば、こんな演奏をしてしまうかもしれない。
(でも、Mirabassiは嫌いそうだよなあ、こんな感じの曲は。)

全11曲、色々なタイプの音楽が含まれているのにも関わらず、最後まで思わず聞き入ってしまう。
Egeaで聞かれるような、牧歌的な曲(7曲目Folk、8曲目Something for youなんて、Weatherの1枚目、或はOregonのような雰囲気さえもある)、内省的な美しいメロディ、それと対照的なアブストラクトな曲、先にあげたような先鋭的なジャズテイスト一杯の曲。
もちろん僕にとって、このアルバムの魅力は随所で現れる、美しい地中海的なメロディだ。
それが分かっているからこそ、アブストラクトな曲でも、きっちり鑑賞できるのかも。(修行の足りないヤツ?)

MirabassiとBatagliaのduoアルバムFiabeでは、clとpが美しく融合し、逆に激しくぶつかり合い、
その間に他の楽器が入り込む隙間は、殆ど無いように思う。
このトリオでは、bが加わることで音楽の広がり、振れ巾が大きくなっている。
リスナーとしても、それほど大きな緊張感を強いられることなく、その揺れに身を委ねることが出来る。

この揺れは、勿論3人の音楽のレンジが非常に大きいこと(特にMariottini)も重要であるけれど、
楽器編成によるものが大きいと思う。
デュエットでも、カルテットでもなく、dsも入ってない。そんな編成の魅力が強く出ているのでは?
もちろん、こんな音楽を創れる人は数少なく、この音楽に対しては、イタリア内ではBattagliaと、Dalla Porta以外の組み合わせは居ないと思う。スキル的なものだけでなく、美意識的なものも考えると…
Bollani-Tavolazzi, Rea-Pietropaoliも負けないくらい素晴らしい組み合わせだけど、ちょっと違うな。

このアルバムはDalla Portaのファン、それから彼のことを知らなくても美しいベースを愛する人には、是非聞いて欲しい。
Dalla Portaは、僕のアイドル Palle Danielsonと同様、それほど重量的なものを感じさせない、
どちらかというと軽いなあ、というベース。
ここでも、ベースが最も美しいと思われる(僕が勝手に思っている)中音域を中心にしたメロディックなライン、ソロを聞くことが出来る。
パレちゃん同様、この人の音のかすれ具合、深くキシむ具合って僕には堪らないものがあるのだ。
生音も多分素晴らしいのだろうなあ。
ピッチカート、アルコ(こんなにDalla Portaのアルコが聞けるアルバムはあるかしらん?)を駆使して、
左手は縦横無尽に指板を駆け巡り…
ステディなリズム、急降下するようなテンポの変化、ささやくように、あるときはヒステリックに、またタブラが居るような雰囲気を作ることも。
ほんとう、凄いベーシストだ。

付録: Dalla Portaっての演奏って、時折舌打ちが聞こえるのだよね。4ビートを、シゅっシゅっなんて、小さく言いながら(歌いながら?)ベースプレイヤーって見たことあるけれど、舌打ちはねえ、見たことない。
でも、なんだか、かっこいいんだよね。演奏は、どうやっても真似できないけれど、舌打ちだけでも真似するかな。(これも相当難しそう。)

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Mirco Mariottni trio / Nugae(Splash(H))
Mirco Mariottni(cl), Stafano Battaglia(p), Paolino Dalla Porta(b)
’04 1月録音

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October 01, 2005

甘酸っぱい 3 Maria, Danilo, EnzoのJoniカバー集

so_right

繰り返しになるけれど、このアルバムに出会ったのは、ウニオンのレジに並んでいる時。
ピンクの綺麗なジャケットとともに、3人の名前が目に飛びこんできた。(一応Romanoもね。)
イタリアのピアノトリオDoctor3のDanilo Rea(p), Enzo Pietropali(b),
それから、女性voのMria Pia De Vitoだ。

すぐ頭に浮かんだのはJoni Mitchell。
この3人は昨年Joniをtributeするライブをやっている。
偶然、その記事を見つけたのだけれど、チンプンカンプン。
こんなライブ、日本で実現するわけもなく、僕としてはアルバムの発表を期待するしかなかった。
…まさかそれが、叶うなんてね!!

Maria Pia De Vito はイタリアを代表する歌姫。
超絶技巧、ボーダーレスな歌手
…John Taylor, Ralph Townerのオリジナル曲もへいちゃらで、歌っちゃう
であるから、Joniと関連付けることは難しいかも。

彼女が歌うポップスを存分に聞くことが出来るアルバムもある。
随分前にも触れた、Enzoのリーダーアルバムstolen songsがそれ。

Joniの珠玉の名曲ameliaで、始まるこのアルバム。
Stolen songsと同様、Mariaのリラックスした地声中心のヴォーカルを聞くことが出来る。
もちろん、超絶な(それほどエグく無い)スキャットや口パーカス?も。

Mariaは上手くても、ちょっと…と思う人もいるかもしれない。
そんな人でも彼女の歌がすっと気にいってくれると思う。
程良く柔らくfat、繊細さも兼ね備えている。Joniの曲にも良くマッチしている。彼女のジャズアルバムでは、力強さ、尖った部分が目立つけれど、それと違う魅力。

Joniのオリジナルだけでなく Maria, Dainilo, Enzoの作曲も数曲含まれて、それにがバランス良く配されている。
ジャズワルツであったり環境音楽的であったり、joniも曲も4ビートであったり、オリジナルに近かったり。

期待どおりDanilo Reaのピアノはとても魅力的。
Doctor3のように、ハメをはずすことはなく…
彼のピアノって、やっぱり甘酸っぱい。ピエラヌンチのように粘り気もあるけれど、僕は嫌味に感じない。

僕の勝手な想像だけれど、Daniloは自分の甘酸っぱいところ、ねばっこいところを、ちょっと恥じらいを持っているのでは?
その恥じらいが、ハメ外しにつながたり、逆にもっと甘酸っぱさの種になっているのかも。
きっと、とてもシャイな人だと思う。(ファンの勝手な想像。)

Enzoのベースもワンパターンと言ってしまえばおしまいだけれど、この音楽に、とてもマッチしている。
DaniloのピアノにはEnzoのベースが一番合うと思う。
ピックアップなどのセッティングを変えたのか、いつもより生に近い音だ。
いつも、少し嫌味に聞こえるベースの音も、弦のかすれなど自然で良い感じ。
Enzoは音色の点で減点大だったけれど、これだったら良いなあ。

どの曲も甲乙つけがたいけれど、Joniの曲では逃避行のAmelia、初期の名曲Riverが、とても良かった。
Riverはクリスマスソングの好きなDaniloとEnzoらしい選曲。
せつない歌詞を思い浮かべると、胸キュン度も非常に高まってしまう。
コーダにEnzoがつまびくジングルベルが、これまたせつない。
それから4ビートで演奏されるGod must be a boogie man(ミンガスに捧げた曲)、A case of youも良いなあ。
God…では男性陣の情けないコーラスも、可愛いらしい。

オリジナルの曲については、歌詞だけでなく全て譜面がついているのが魅力的。
So right, Since your love diedと言う2曲のワルツが特に僕は好き。
特にスローな後者は胸がしめつけられるくらいの美しさ。(ちょっと大げさかも)

あ..ロマーノのこと一言も触れてなかった。
ジャケットを見て分かるよう.に、相変わらず渋いおっちゃん。
ゲストといいながら、殆ど全曲参加。
2曲目では、なかなか可愛いシンバルワークを聞かせてくれる。

so_right2jpg

おまけに、ジャケを広げた写真を。
Mariaは神経質な顔しか見たことなかったけれど、とても良い表情。
男3人も。なんで、皆スキンヘッドなんだろね。。。。Daniloは毛が生えてきたけど。
ボラもスキンヘッドにしたら、世の中終わりだ。そしたら、真似しよう。

追伸
ノーマのHPを見ると、ノーマとマリアが共演するライブなんてあるんだよなあ。
ああ、見たいな。

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Mria Pia De Vito, Danilo Rea, Enzo Pietropali / So right (cam jazz)
Mria Pia De Vito(vo), Danilo Rea(p), Enzo Pietropali(b), Aldo Romano(ds)
2005年3月録音

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September 10, 2005

秋の空とボラちゃん Stefano Bollani / les fleurs bleues (label bleu)

les_fleurs


ボラちゃんこと、Stefano Bollaniのことは、最初の頃に書いたけれど、また、このアルバムが聞きたい時期になった。

*ボラちゃん:勝手にそう呼んでるだけです。ファンの方、すいません。

音楽のインパクトがとても強い時、或いはその時の雰囲気のインパクトがとても強い時…
そんな時、自分の居た雰囲気と聞いていた音楽が一緒に頭に焼きつくことがある。
このCDは前者の場合。

ボラちゃんを知って1年くらい、片端から彼の参加アルバムを聞いていた頃と思う。
親分ラヴァとの共演は全てすんばらしい出来。
でもボラ自身のリーダー作は、どこかモノ足りない、なんて感じていた記憶がある。

おふらんすのlabel bleuからのリリースで、Scott Colley(b)と Clarene Penn(ds)…妙な組み合わせと思いつつ、
とても良く晴れた秋の青空の下、バス停で買ったばかりのCDを聞いた。

日差しは夏以上なのだけれど、時折吹く涼しい風。
その中で玩具箱を引っ掛き回しているような(この表現は盗用かも)、ボラのピアノが鳴り響いている。
それまでの、ボラへのモヤモヤ感が一気に消し飛んだCDだった。

別に、青い空を思い浮かべるような演奏とは思わないのだけれど、
これを聞く度に晴れた秋のバス停を思い出してしまう。

青い空と、涼しい風、それから、ペラペラのプラスティックの青いベンチ。

ボラの演奏は、ダイナミックレンジが色々な面で広い。
音量、音色だけでない。
   シニカル~優しい。
   はちゃめちゃ~繊細。 
   いたずらっこ~ロマンチックな王子。
   夜の下町の猥雑さ~晴れた高原の爽やかな風。… きりが無い。

演りたいことが多少ボケているのは否めないけれど、底には胸キュンなボラちゃん味が。
このアルバムは、その広~いダイナミックレンジを充分味わうことも出来るし、
この人のやりたいことが、なんとなく分かる作品だと思う。
(ベクトルがボケていることも。でも、それも持ち味なんだろうと、納得してしまう。)

このアルバムのタイトルを調べてみた(3年前だけれど。)
「青い花」って意味。ラスコーの壁画を舞台とした戯曲らしい。
ジャケの絵がちょっとプリミティブなのは関係あるのかも。

作者のRaymond Queneauはフランスの詩人、小説家。
ルイ・マルの映画『地下鉄のザジ』の原作者。
言語学を研究していた彼の詩は、造語だらけ(時には誤植もある)で、訳するのは難しいとのこと。

11曲目のIt could happen to Queneauは明らかに彼に捧げたものであるし、
ボラが美声を披露している(どこまで、本気??)Si Tu T'Imaginesは、 Queneauが作詞。
(この曲はJuliette Grecoがヒットさせたのだそう。)
やはりQueneauの名前をタイトルとした、13曲目Raymond(CD-ROMトラック)は
Lorenzo Montagniさんの絵(こんな絵)をバックとしたピアノソロ。
青を基調とした幻想的な絵の上に、とてもロマンチックなピアノが重なっている。
他の曲も、Queneauと何らかの関係があるかもしれない。

全13曲の約半分がピアノソロ、残りがトリオによる演奏。
Bollaniは、いくつものピアノトリオを残しているけれど、僕はこの組み合わせが一番好き。
非常にからっとした感覚で、Venus盤のトリオとも、Jusper Bodilsen- Morten Lundとのトリオとも感触が異なる。
悪く言えば主張が少ないのかもしれないけれど、Bollaniの音楽をとても良く表現している。
デンマークトリオはレギュラー化しそうだけれど、こちらも再演してもらいたいもの。

沢山の曲が並んでいて、どれも魅力的。
音数、音圧で圧倒する1曲目のピアノソロ、とてもロマンチックな曲の数々。
5曲目 Se Non Avessi Piu Teは、Bodilish-Lundとのトリオで演奏されている。
こんなキレイな曲が並んでいると言えば、未聴の人には分かり易いかも。
前述したように、雰囲気は異なるので、聞き比べも面白いかもしれない。

いずれにしろ、とても丁寧に作られた作品だと思う。
混じりけの全くない、100%ボラちゃんの音楽。
また、こんな作品聞きたいのだけどなあ。。。。

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August 07, 2005

ボラ&バーバラ

2つ前の記事で、Stefano Bollani, Barbara Casiniのこと書きましたけど、
Nicola Stilo の"Vira vida"でも共演してましたね~。

ボラの参加は知ってたけど、バーバラは気が付かなかった。

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Rava、Vitous、D'Andrea、Humair / Quatre

quatre1quatre2

Enrico Rava(tp)、Miraoslav Vitous(b)、Franco D'Andrea(p)、Daniel Humair(ds)のスーパーカルテット″Quatre″。
'89に録音されたこのアルバムと'91の″Earth Cake″の2枚のCDが同じメンバーでリリースされているようだ。

Earth cakeは地球を型どったケーキの可愛いジャケット。
音の方は強烈で4人の巨人が地球を食べてしまったと言うような感触。
スリル感では劣るかもしれないけれど、分りやすいメロディの多い、″Quatre″の方が僕は好きだ。

このバンド、ネット通販でRavaを検索していて知ったのだけれど、組みあわせには少し驚いた。
D'Andrea 、Ravaの組、Vitous、Humairの組の共演アルバムもあるけれど、この4人がねえ。
演奏する音楽の多様性と面白さ、高度な演奏技術。聞いてみたい!と思う人も多いと思う。

4人の個性が強く出ていて、blindfold testには簡単な素材かもしれない。
それぞれが、とっても面白いのだけれど…例えばVitousのベース。
僕は場をコントロールするのがベース役目の一つと思っているのだけれど、
このアルバムでは、演奏がVitousに支配されているようなところが、所々にある。

軽やかに弾むのだけれど、ズンズンとした4ビートライン。
時折入れる連続する8分音符が、地響のように、雷のように(遠くで鳴ってたり、近くで鳴ってたり)、聞こえたりする。
弦楽器というより、打楽器的な雰囲気も。
軽やかな4ビートランニングでは、16分音符も取り入れることもある。
指が弦上に滞在する時間は、すごく短いのかなあ。それでも存在感がある音。
弦をはじく早さだけで、無いのだろうな。

一方、メロディックに歌い上げるソロでは、一つ一つの音の輪郭がはっきり。
こちらでは、指を引っ掛けてるのかしらん。
弦と指が考えられないくらい仲良しなんだろう。
きっと何も考えてないと思うけれど、その場にあった音色・音量が出てくる。すごいなあ。

このアルバムは、Vitousの魅力を改めて確認できる、名盤だと思う。
1曲目は、Hunair作曲のキャッチーなテーマのミディアムの4ビートで演奏される“Mode for Versace”。
Humairのドラムの引き続き現れる、イントロ部のVitousはちょっと間が抜けているのだけれど、
その後は、彼の魅力のShowcase。
単純でかっこいいTpのテーマリフでのバックでの暴れぶり(端正なので、表現が妥当では無いのだけれど)、
Rava、D’Andreaのソロをスインギーにバックアップする4ビートライン、
超絶なのだけれど分かりやすいメロディのベースソロ。
高音部で、思い切り弾いたときの、彼特有のキシみ具合がたまらん。
(ベースフェチの私は、色んな人のキシみ具合を楽しんでるのだけど。)

続く、F.Expressは、Ravaのとっても美しいバラード。
ルバートテンポに近いテーマ、それに続くのピアノソロ、
D’Andrea、Vitousは寄り添うように演奏しているのだけど、すんげー良いのだよなあ。
二人とも、そんな難しいことしていないのだけど。
Vitousのソロは、ファンには嬉しい長尺。僕はこのソロが大好きだ。
やっぱりメロディアスで分かり易いし、キシミ具合もばっちり。胸に染み入るソロだ。
Ravaのソロでは、フレキシブルにリズムが変化していくのだけど、
ここでの4人の親父達の寄り添いぶり(気持ちわりい)が、とても胸キュンなんだ。
F. Expressって曲名も、なにやら、ジンと来るしね。

3曲目は、Vitousの短いソロパフォーマンス。ピッチカートと、アルコを交互に。
Vitousのアルコってピッチカートに比較すると技術的な完成度が低いと思うけれど、エグミがあっていい。
この曲は、Autoscontoriってフリー度の高い4曲目の導入にもなっている。

・・・・Vitousのことだけ書いてしまっただけど、他の3人も、勿論かっこよい。
Franco D’Andreaは、イタリアジャズ界の重鎮であることは間違いないけれど、ちょっと露出度が低いと思う。
‘90頃のAldo Romanoのカルテットでの活動が知られているくらいでは?
イタリアに閉じこもってないで、もっと色んな人との演奏の機会が増えれば良いのに。

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Rava、Vitous、D'Andrea、Humair / Quatre (Platinum)
Enrico Rava(tp)、Miraoslav Vitous(b)、Franco D'Andrea(p)、Daniel Humair(ds)
’89 2月、3月録音

Quatre / Earthcake (Label bleu)
演奏者は同上
‘91年 1月録音


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