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February 12, 2006

Oliva Sellerio , Pietro Leveratto /Accabbanna

egea1
先月マルコのところで買ったCDは、良いものが多かった。
その中でもピカ一の1枚。

シシリアの女性歌手Oliva Sellerioと、哀愁のベーシストPietro Leverattoの二人名義で、p、ts、tp、g、per、vlnが参加している。アルバムタイトルのAccabbannaはシシリアの言葉で、”this way, over here”という意味らしい。
・・・・ってどんな意味?「こっちだよ」?

最近のEgeaって、レーベルカラーが薄れてきたと思っていた。
でも、今回手に入れた2枚のアルバム(もう1枚はRitaの)はEgeaらしさが十分に詰まっている。
録音については、以前のものと比較すると、作り込まれた感触があって、あまり演奏者の息遣いが感じられず、その点は少し不満なのだけれど。

Egeaの魅力は、何と言ってもイタリアの伝統音楽とジャズの融合だと思う。
このアルバムでは、二つ(或いはもっと沢山の要素)が混じって、相当存在感が強い音楽となっている。
このアルバムは同様なコンセプトのEgeaの作品群の中でも、とても完成度が高い。
ちょっと前に出たPietro Tonolo のItalian songsなんて、題材こそイタリアの歌だけれど、ジャズのフォーマットに乗っただけの演奏で、それほど面白いものではなかった。(多分Egea以外のレーベルから出ていたのだったら、喜んで聞いていた。)

Oliva Sellerioの声は、「地を這うダミ声」って感じで、僕の美的感覚から言うと女性voの範疇から完全圏外なのだけど、すごく魅力的だ。
これほど情念を露わにしたヴォーカルって、僕は初体験。
Abbey Lincolnを聞いた時も相当ショックを受けたけれど、それ以上。

曲は殆どシシリアの伝統音楽を題材に、それにPietro Leverattoのオリジナルが2曲、オーネットのWishesって曲が一つ。
シシリアの音楽ってよく知らないけれど、どれもモダンで、かつ切ないアレンジがされている。
情念の演奏家OlivaとPietroの二人以外は、サラッと精錬された演奏スタイルであることも、良い音楽になった理由かもしれない。
このヴォーカルを生理的に受け付けない人も多そう。僕も、ぎりぎり。
また、手にする人は少なそうだけれど、音楽好きな人には聞いてもらいたい気もする。
僕同様、おーぉ!って感激する人も、少しは居るかもしれない。

どの曲も魅力的なのだけれど、1曲目の“Canti di la Vicaria(Song for the Vicaria Prison)”が、すごくいい。
何の楽器か分からんドローンと、ゆったりしたベース、打楽器、VlnをワルツのリズムにOlivaの声が鳴り響く(何気なく入ってきた娘が顔引きつらして、出て行ってしまったくらい)。
対するtp、ts、pの洗練されていること。その対比が面白いし、鮮やかだ。
歌の後に、tp、tsのインタープレイが素晴らしい。
それほど白熱することなく、ただ淡々と進んでいくのだけど、音楽を推進させる力を強く感じてしまう。

4曲目Spartenza(Separation)はゲストのVln奏者を中心としたイントロの後に、OlivaとPietroのデュエットが続く。
とても素朴で、それが妙に感傷的な演奏。
エンディングは、ピアノとベースの二人から始まり、Vlnが加わり、それにts、tpが静かに絡みつくのだけれど、このアレンジも素敵。

10曲目Latri di passu (Mountain Brigands)は、ゆったりとしたボサノバで、このアルバムの中では少し異彩を放っている。もっともジャズらしい演奏で、Enrico Tobia Vaccaroのギターも、Mauro Schiavoneのピアノも、かぶさる管の二人も良い感じ。

それぞれの曲には、英語の訳詞が付いている。
歌われている内容も、悲しい恋であったり、死であったり、明るいものは少ない。
それとともに、1曲ごとに昔の人々の生活を撮った白黒の写真が掲載されている。
明るい表情、悲しげな表情、力強い表情。
歌(詩)と写真、皆幸せかどうか分からないけれど、時間がゆったり流れていたことは確か。
自分がこの中で暮らしていけるか分からないけれど、郷愁を感じてしまう。

Pietro Leverattoのベースに初めて触れたのは、Emanuele Cisi、Stefano Battaglia、Fabrizio Sferraと組んだコンボChangesの“Small changes(splasc(H))”だった。
イタリアには良いベースが多いと思うけれど、彼も個性が際立った演奏をする。
哀愁がこもったソロが魅力的だ。Charlie Hadenのような、ねっとり感は少ない。
発声の仕方、音使いともに、芸風に取り込みたいタイプのベーシスト。
Egeaでは、これで2枚目のリーダー作。これから、どんどん露出度が高くなるのかな。

最後にちょっと不思議なのは、この人アルバムの表記によって、Piertoだったり、Pieroだったり。
うちには6枚あるけれど、半々くらいつつ。
Philologyなんか表記がいい加減なことがあるけれど、
この人の場合、リーダーだとPietroで、サイドマンだとPieroなのかしらんね。そんな気もする。

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Oliva Sellerio , Pietro Leveratto /Accabbanna (EGEA)
Olivia Sellerio(vo), Giampaolo Casati (tp),
Gaspare Palazzolo (ts,ss) , Enrico Tobia Vaccaro (g)
Mauro Schiavone(p), Pietro Leveratto(wb)
Giovanni Apprendi Tamburi(per) , Francesco La Bruna (vln track4 only)

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