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September 10, 2005

秋の空とボラちゃん Stefano Bollani / les fleurs bleues (label bleu)

les_fleurs


ボラちゃんこと、Stefano Bollaniのことは、最初の頃に書いたけれど、また、このアルバムが聞きたい時期になった。

*ボラちゃん:勝手にそう呼んでるだけです。ファンの方、すいません。

音楽のインパクトがとても強い時、或いはその時の雰囲気のインパクトがとても強い時…
そんな時、自分の居た雰囲気と聞いていた音楽が一緒に頭に焼きつくことがある。
このCDは前者の場合。

ボラちゃんを知って1年くらい、片端から彼の参加アルバムを聞いていた頃と思う。
親分ラヴァとの共演は全てすんばらしい出来。
でもボラ自身のリーダー作は、どこかモノ足りない、なんて感じていた記憶がある。

おふらんすのlabel bleuからのリリースで、Scott Colley(b)と Clarene Penn(ds)…妙な組み合わせと思いつつ、
とても良く晴れた秋の青空の下、バス停で買ったばかりのCDを聞いた。

日差しは夏以上なのだけれど、時折吹く涼しい風。
その中で玩具箱を引っ掛き回しているような(この表現は盗用かも)、ボラのピアノが鳴り響いている。
それまでの、ボラへのモヤモヤ感が一気に消し飛んだCDだった。

別に、青い空を思い浮かべるような演奏とは思わないのだけれど、
これを聞く度に晴れた秋のバス停を思い出してしまう。

青い空と、涼しい風、それから、ペラペラのプラスティックの青いベンチ。

ボラの演奏は、ダイナミックレンジが色々な面で広い。
音量、音色だけでない。
   シニカル~優しい。
   はちゃめちゃ~繊細。 
   いたずらっこ~ロマンチックな王子。
   夜の下町の猥雑さ~晴れた高原の爽やかな風。… きりが無い。

演りたいことが多少ボケているのは否めないけれど、底には胸キュンなボラちゃん味が。
このアルバムは、その広~いダイナミックレンジを充分味わうことも出来るし、
この人のやりたいことが、なんとなく分かる作品だと思う。
(ベクトルがボケていることも。でも、それも持ち味なんだろうと、納得してしまう。)

このアルバムのタイトルを調べてみた(3年前だけれど。)
「青い花」って意味。ラスコーの壁画を舞台とした戯曲らしい。
ジャケの絵がちょっとプリミティブなのは関係あるのかも。

作者のRaymond Queneauはフランスの詩人、小説家。
ルイ・マルの映画『地下鉄のザジ』の原作者。
言語学を研究していた彼の詩は、造語だらけ(時には誤植もある)で、訳するのは難しいとのこと。

11曲目のIt could happen to Queneauは明らかに彼に捧げたものであるし、
ボラが美声を披露している(どこまで、本気??)Si Tu T'Imaginesは、 Queneauが作詞。
(この曲はJuliette Grecoがヒットさせたのだそう。)
やはりQueneauの名前をタイトルとした、13曲目Raymond(CD-ROMトラック)は
Lorenzo Montagniさんの絵(こんな絵)をバックとしたピアノソロ。
青を基調とした幻想的な絵の上に、とてもロマンチックなピアノが重なっている。
他の曲も、Queneauと何らかの関係があるかもしれない。

全13曲の約半分がピアノソロ、残りがトリオによる演奏。
Bollaniは、いくつものピアノトリオを残しているけれど、僕はこの組み合わせが一番好き。
非常にからっとした感覚で、Venus盤のトリオとも、Jusper Bodilsen- Morten Lundとのトリオとも感触が異なる。
悪く言えば主張が少ないのかもしれないけれど、Bollaniの音楽をとても良く表現している。
デンマークトリオはレギュラー化しそうだけれど、こちらも再演してもらいたいもの。

沢山の曲が並んでいて、どれも魅力的。
音数、音圧で圧倒する1曲目のピアノソロ、とてもロマンチックな曲の数々。
5曲目 Se Non Avessi Piu Teは、Bodilish-Lundとのトリオで演奏されている。
こんなキレイな曲が並んでいると言えば、未聴の人には分かり易いかも。
前述したように、雰囲気は異なるので、聞き比べも面白いかもしれない。

いずれにしろ、とても丁寧に作られた作品だと思う。
混じりけの全くない、100%ボラちゃんの音楽。
また、こんな作品聞きたいのだけどなあ。。。。

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Comments

しぶちゃさん、こんにちは。
このアルバムは私も大好きで、今も愛聴しています。この顔合わせで再びボラ度100パーセント作品を出してほしいのは私も同感です。
シニカル~優しい
はちゃめちゃ~繊細
いたずらっこ~ロマンティックな王子...
とは、しぶちゃさん、うまいことおっしゃいますね~!本当にそのとおりです。このアルバムはそんなBOLLANIの個性が思う存分発揮された素晴らしい作品ですよね。
BOLLANIは演奏技術、表現力ともに並外れて素晴らしい人(天才か?)だと思いますが、私はBOLLANIが音楽に込めるユーモアも大好きなんです。7曲目にBAR BITURICOっていうタイトルのピアノソロがありますね。あれを聴くと酔っ払いの姿態を思い浮かべてしまうんです。そこらへんにけつまずきながら危なっかしくフラフラと歩き回り、機嫌よく酔っ払っている男、あるいは男たちの可笑しな姿。ストライド奏法が突如、急速調になる部分では、店内でひと騒動が巻き起こっている場面が目に浮かぶようで、思わず「あははっ!」と笑ってしまった。私、ジャズのCD聴きながら笑うことがよくあるんです。(ちょっと変かも)
日本のレーベルが製作したBOLLANI作品もありますが、イケメン扱いされているようで、私は不満なんです。3枚買いましたがすぐに飽きてしまいました。
BOLLANIの参加作品を片っ端から聴いていた時、何も知らずにLEE KONITZとのデュオを買って聴いてみたらびっくり。あ~、これが例のフリージャズってやつだなーと(笑)でも、よく聴いてみると、BOLLANIはやはりここでも凄いんです。あ、話が長くなりそ(笑)
私、BOLLANIがリーダーの初期作品は持っていないので残念です。こんな素晴らしいピアニストならもっと早く知っておくんだったと後悔しています。
ついつい長くなってしまいました。ではヾ(*'-'*)マタネー♪

Posted by: アーティチョーク | September 11, 2005 02:25 p.m.

アーティチョークさん。こんにちは。
この話題だと、取り留めもなく長くなってしまいそう。

>もっと早く知っておくんだったと後悔しています。
僕は知ってから、4年くらい。Shades of Chetってアルバムでした。ヘンテコなピアノだなあってのが初印象。
うちにアルバムで一番古いのは’97年の録音ですが、そこでのボラは、ハンコックみたいだったりします。
(・・・Quattroquintiってアルバム。1曲だけ、ボラの曲があって、そこでは、今みたいな演奏してる。)
まあ、色んなスタイルを弾き分けるのも簡単かもしれない。

日本のレーベルについては、何も言いまへん。
もっと、好きなようにやらせれば良いのに。
レーベルカラーってのも重要なのだけど、僕はあのカラーは馴染めません。

コニッツのduoは、おそらく1回しか聞いてません。
僕はフリーも好きなのですが、あれはどうも。
悲しいけれど、最近のコニッツは衰えが顕著なように思えます。
期待したglauco venier(p)とのduoアルバムも、'03に録音されたフィルウッズ、ラヴァとのオールスター盤(もちろんボラがp)も、煮え切らない演奏でした。
彼には、良い演奏をもっとしてもらいたいのだけれど。

もう一度ボラちゃんに戻るけれど、あの調子じゃ、名盤をぼんぼん出さないと思う。
でも、年初にリリースされたConcertoneも、とっても、丁寧に作ったと感じさせられるアルバムだった。

また、次を期待したいっす。
Scott Colley、 Clarene Pennの起用に賛成!!

Posted by: しぶちゃ | September 11, 2005 04:15 p.m.

しぶちゃさん、こんばんは。
CONCERTONEは、私も去年の9月に例の“マルコ”さんところで見つけてすぐに、いつも利用している“ナマズ盤”さんへ注文していたのですが、催促してようやく先日届きました(1年がかり)。注文するのが早すぎて、忘れられていたらしい(^▽^;) これ未聴なのです。

Posted by: アーティチーク | September 11, 2005 08:54 p.m.

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