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June 12, 2005

Joakim Milder / Sister Maj's Blouse

sister_maj
僕は聞いたこと無いのだけれど、'60年代にBorje Fredrikson(1937-68)というts奏者がスウェーデンに居た。
彼はIntervalleと言うアルバムを1枚だけ残して、31歳の若さで死んでしまった。
このアルバムに参加する、Bobo Stenson(p)、Palle Danielson(b)、Fredrik Noren(ds)の3人はBorjeの最後のリズムセクションだ。
一世代若いJoakim Milder('65生まれ)も、Borjeの演奏をレコードで知り、多大な影響を受けたらしい。

幸いにも、BoboがBorjeの書いた楽譜を全て保管してため、この音楽を再演するチャンスが生まれたようだ。
Boboは’63(僕が生まれた年)に18歳の時に雇われ、おそらく5年間活動を共にしたと思われるのだけれど、Borjeから受けた影響は非常強かったのだろう。
未発表曲も多く含まれていた、楽譜の山・・・
没後、30年経ってしまったけれど、こんな良いアルバムが出来て、Boboも幸せに違いない。

Sister Maj's Blouseというブルースから始まり、全11曲収録されている、このアルバム。
コアな北欧ジャズファンだけでなく、多くのジャズファンが気に入るのでは?
耳にすんなり入ってくる魅力的なテーマメロディと、素晴らしいメンバーによる演奏。

僕にとっては、Joakim Milderの参加がとても嬉しいし、彼が参加していることで、
このアルバムはより素敵なものになっていると思っている。
Joakimは、他メンバーと比較すると、知名度がやや、低いかもしれない。
僕にとっては、北欧ではガルバレク以上に好きなサックス奏者だ。
とっても、個性的なアーティキュレイションとフレージング。
コンテンポラリーな演奏家はブレッカーをはじめ、男性的なバホバホ・ゴリゴリなフレーズを吹く人が多いけれど、Joakimはその風貌からも想像できるよう、女性的な優雅さ、繊細さを持ったミュージシャンだと僕は感じている。

曲の方を簡単に説明すると、11曲中、5曲は未発表曲。
そのうち2曲はタイトルも分からなかったようだ。(色々調べて、1曲はタイトルが分かったらしい。)
1曲目Sister Maj's Blouseは、Borjeの最後の作品。
ブラウスをブルースに引っ掛けた、面白いタイトルだ。
Sister Majは、病床のBorjeの最終期を看た看護婦らしい。
可憐さも、女性らしさも、あまり感じない、どちらかというとシニカルな曲(ブルースだもんね)。
シチュエーションだけからは、ロマンスみたいなものを想像してしまうけれど、そんなカケラも無い。

自分で演奏することは無いと予想していたかもしれない。どんな気持ちで作った曲なんだろ。
Joakim、Bobo、Palleと引き継がれるソロは、それぞれ短いけれど魅力的。
Palleちゃんのソロは、しびれる。
EndingのBoboのフレーズはECMファンだったらニヤリとしそうなもの。

サビのコード進行が魅力的なカリプソナンバーの2曲目(Mahatma)、
とても良くスイングするミディアムファーストの4曲目(Stockholm12)、
タイトルとは似つかず、ちょっと戦うぞ!みたいな気持ちになる演奏8曲目(Brollopvals(Wedding waltz))
こんな楽しい曲では、Boboも唸りつつピアノを弾いているのだけれど、陽だまりのゴロゴロ言っているご機嫌な猫のよう。

3曲目はOriental Folksongと副題があるように、東洋的な雰囲気を持ったスローナンバー。
Joakimは、東洋的なものに関心があるようで、独特な雰囲気を作り出している。

他にも、ちょっと抽象的な雰囲気で、Palleの地の這うようなベースが聞ける6曲目(軽量級Charlie Haden的なところもあるが、中音域を中心とした自由度のあるライン、かすれた音色が、僕にはたまらない。)、とりとめの無さ、やりきれなさ、そんな気持ちを綴ったような7曲目など色々。

2曲あるバラード、Min heliga(My Holy), Ballad for Lilaも希望に満ちた明るい曲だ。

5曲が未発表のこと。もしかすると幾つかは病床で書かれたものかもしれない。
でも、こうやって、自分の仲間と後輩が、素晴らしい演奏で表現しているのだから・・・
Boboも、Palleも楽譜を眺めながら、どういう風に演奏しようか?って考えたに違いない。
きっと、楽しい作業だったのだろう。

スウェーデンで’93に賞をとった、このアルバム、彼らは続編としてEpilogueを発表している(’97)。
こちらは、アブストラクトな曲もあり、歯ごたえのあるアルバムだ。

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Joakim Milder / Sister Maj’s Blouse (mirrors)
Joakim Milder (ts)、Bobo Stenson(p)、Palle Danielson(b)、Fredrik Noren(ds)
‘93/1月録音
*正確にはJoakimのリーダー作では無い。リーダー不在の作品。


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